忘年会 / 新年会

by on 2013年1月18日金曜日

photo / 長谷川シン
 私は勤め人ではないから忘年会や新年会の義務はない。義務的な飲み会が何より苦手なので、この時期になると、フリーランス/自営業でよかったとしみじみ思う。そんな私だが、去年の年末、今年の始めは、いい忘年会 / 新年会に参加することができた。どちらも写真絡みの飲み会だ。

 去年の年末はろでぃ氏の自宅での忘年会に参加した。メンバーはろでぃ氏、長谷川シン氏、Thomas Orand氏、私、その他連れ合いも含めて計6人。付き合いも古く、写真の面で尊敬する仲間たちだ。
 以前は、写真SNSのFlickr絡みで、毎週のように歌舞伎町やゴールデン街で飲んでいた。日本人だけでなく、海外の写真家達との飲み会にも、頻繁に顔を出していた。写真仲間を集めて写真展を組織したり、写真集の製作をやったりもした。でも今はやらない。人を集めて何かをやる面倒臭さに心底嫌気がさしたのと、自分に出来ることは一通りやったという思いと、何より、写真家としての自分の時間を犠牲にするのに耐えられなくなったからだ。今はただ、少数の尊敬する写真家とたまに飲めればそれでいい。あとの時間は、自分の写真との対話に費やしたい。
 今回の忘年会のメンバーとも、昔は大暴れしたものだ(笑)。いろんな写真家と付き合って、結果彼らとの交遊が残ったのは、彼らが人として真っ当だからに他ならない。人間としてどうよ?と思う相手と、そもそも写真について語らう気にはならない。私が彼らとの交遊を好むのは、みな心が広く、情に厚く、そして何より、シャシンに一直線な馬鹿野郎たちだからだ。シャシンなんて、所詮やってもやらなくてもどっちでもいいもの。人としての土台を蔑ろにしてまで、手を出すべきものじゃーないと私は思うが、どうだろう。

 さて先日の新年会。こちらは打って変わって、まさに酒宴と呼ぶにふさわしい大人数のもの。ジャーナリストで極道ライターの鈴木智彦氏が主催する宴席だ。このグループは非公開なので、ここで詳しく書かないが、実に楽しい飲み会だった。メンバーは、私のような万年ワープアな写真家から、高名なライターまで多士済々。私がこの会を好むのは、鈴木氏の好みか人望か分からないが、参加する方々がみな「いい顔」をしているからだ。
 昔何かで読んだが、映画監督の黒澤明が晩年サムライものを撮らない理由について、「撮りたいと思ういい面構えの役者がいないからだ」と言っていた。確かに黒澤監督の映画を観ると、脇役の騎馬武者や酒場の親父、その他大勢の農民に至るまで、みなゴリッとしたいい面構えをしている。その意味で、鈴木氏が主催する飲み会は、勤め人から元堅気でない方まで含めて、思わずシャッターに指が伸びてしまう「いい面構え」をしていて好きなのだ。そういう方たちの話を聞くと、みな只者ではない仕事をやっている。私もいい面構えになるような本統の仕事をやっていきたいと思った次第。
 
 今年も少しずついろんな仕事が舞い込んで、忙しい1年になりそうだ。これから銀座にairbnbの撮影に行って、それから夜は郵便局。明日は夜にライブの撮影をやって、その後連載の原稿書きを2件片付けねばならない。皆さまもよい1年でありますよう。

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